2011年4月14日木曜日

研究者招へい/Hot News「3.11東日本大震災、国際線航空会社の対応は」

あの3.11東日本大震災から1ケ月が経ちました。
「呼び寄せエクスプレス」の瀧田龍彦です。
各国政府による「渡航自粛」勧告は、新年度の招聘予定に多大な影響を与えています。
 
成田空港と羽田空港は直後に全面閉鎖でしたが、翌12日(土)朝には全面再開した。
しかし、12日(土)と13日(日)の2日間は、各航空会社とも欠航が相次ぎ、実質50%以下の運航。
さらに、原発事故の影響が大地震を大きく凌駕している。
13日(日)アメリカ国務省の「渡航自粛」勧告は、航空会社の運休と欠航を拡大している。
14日(月)東京電力の「計画停電」は、招聘者本人だけでなく主催者心理にも大きな負担となった。
そこで、招聘航空券の影響と現状は。
 
成田空港に国際線47社が、羽田空港は18社が運航しており、東日本大震災による運休と欠航が重なった。
その影響による日程変更や取消と払戻し対応は、それぞれの航空会社によって大きく異なっている。
航空会社による大きな差異は、次の4点でした。
        対象期間       (運休や欠航した便のみか、発生日から7日間か、3月末までか、発生日から30日間か、など)
        対象運賃       (全ての種類の運賃か、正規運賃のみか、特典運賃を含むか含まないか、など)
        予約取消       (払戻が未使用の航空券のみか、一部使用の航空券も含むか、など)
        日程変更       (延期が1年間以内か、4月末までか、5月末までか、6月末までか、など)
 
この詳細内容(39社、4月1日現在)は http://www.gallant.jp/other/eq_crr.pdf を参照してください。
しかし、私たちプロにとっても理解しにくい、かなり詳細かつ複雑怪奇な規準(見解)だ。
そこで、成田空港の発着便について、いくつかの具体的ケースを紹介します。
 
★★★★★★★
例題:  航空運賃の払戻し(e-Ticket控え発券済み、出発当日)
到着:  3月11日(金)午後8時10分(成田空港)
空港:  アジア路線
状況:  搭乗便の出発直後が地震発生し、出発空港に戻った。
対応:  3月14日(月)に、現地オフィスから航空会社に、予約取消しと航空運賃の払戻しを申請した。
               3日後に航空会社から「日程変更に応じるが、払戻しは困難」の通知。
               再度、現地オフィスにて交渉した。
方向:  「ある程度の払戻しは可能だが、その額は4月末ごろ判明。払戻し完了は6ケ月先か1年先」
★★★★★★★
例題:  航空運賃の払戻し(e-Ticket控え発券済み)
到着:  3月16日(水)午後
空港:  北アメリカ路線
状況:  国家公務員のため、アメリカ政府「渡航自粛勧告」のため出国できない。
対応:  3月14日(月)に、現地オフィスにて航空会社に予約取消しと航空運賃の払戻しを申請した。
               4月第2週に最初の回答あり。
方向:  「払戻し金額は総額の60%を、7月30日ごろに返金予定」とか。
★★★★★★★
例題:  航空運賃の払戻し(帰国便のみ)
出発:  3月19日(水)午後
空港:  中国路線
状況:  昨夏に来日したが「早急に帰国するようにと家族からの要望」で、本人が片道便を購入して帰国。
対応:  3月15日(火)に、現地オフィスにて航空会社に航空運賃の払戻しを申請した。
               4月第3週に最初の回答あり。
               「片道を利用済で、本人事由による取消で、特別運賃」なので、払戻し不可。
               回答は4月中旬以降(地震による航空券の変更期限)後。
方向:  過去の例では払い戻しを実施しない。
★★★★★★★
例題:  航空運賃の払戻し(e-Ticket控え発券済み)
到着:  4月13日(水)午後
空港:  ヨーロッパ路線
状況:  国家公務員のため、フランス政府の「渡航自粛勧告」のため出国できない。
対応:  3月31日(木)、現地オフィスにて航空会社に予約取消しと航空運賃の払戻しを申請した。
               翌日に回答あり「申請が多いため4月中に回答する」
方向:  可能性として「払戻し金額は総額の60%を、7月30日ごろに返金予定」とか。
★★★★★★★
例題:  航空運賃の払戻し(e-Ticket控え発券済み)
到着:  4月19日(火)午後
空港:  北アメリカ路線
状況:  国家公務員のため、カナダ政府の「渡航自粛勧告」のため出国できない。
               家族を同伴して来日するため、原発事故の影響が心配。
対応:  3月29日(火)に、現地オフィスにて航空会社に予約取消しと航空運賃の払戻しを申請した。
               翌日に回答あり「払戻対象は4月10日出発分まで。そのため通常の取消料を適用します」
方向:  「取消料は支払総額の37%」結論。
★★★★★★★
例題:  日程の変更/延期(e-Ticket控え発券済み)
到着:  4月23日(土)午後
空港:  北アメリカ路線
状況:  国家公務員のため、アメリカ政府「渡航自粛勧告」のため出国できない。
対応:  3月22日(火)に、現地オフィスにて航空会社に日程の延期を申請した。
               翌日に回答あり「取消料は無し。運賃差額は約1万円」
方向:  7月に成田国際空港を経由し、関西国際空港の往復に変更予定。
★★★★★★★
例題:  航空運賃の払戻し(e-Ticket控え発券済み)
到着:  4月23日(土)午後
空港:  北アメリカ路線
状況:  国家公務員のため、アメリカ政府「渡航自粛勧告」のため出国できない。
対応:  4月12日(火)に、現地オフィスから航空会社に、予約取消しと航空運賃の払戻しを申請した。
方向:  「取消料は支払総額の75%」とか。
★★★★★★★
 
地震という天災が主な原因なので、日程変更と予約取消(運賃払戻)手続きにおいて柔軟な対応ケースが多いようです。
通常の「安い運賃:割引運賃」(Dクラス、Qクラス、Mクラスなど)では「発券後の取消料は全額」が、いつもの対応。
今回は、航空会社のポリシー(申請期限や対象期間、さらに払戻時期)で大きな格差があります。
 
震災直後の3月中旬から4月下旬は年度末と年度初めであり、研究者の海外招聘は比較的に少ないシーズンです。
しかし、日本の旅行業界では「春休み」+「帰国と赴任時期」というショルダーシーズン(繁忙期に準じる時期)でした。
そのため、各航空会社に日程変更と予約取消の手続きが集中しており、なかなか正確で迅速な対応が進捗しておりません。
 
いま、我が社では現地オフィスと協力して、招聘元の大学や独法にとって優位な交渉を心がけます。
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by 瀧田龍彦。on 2011年4月14日(木)配信。
 
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