2011年6月2日木曜日

研究者招へい HOT News 答えます! 研究者招聘の疑問「会議開催の前後に私用滞在したい」


国内にて開催する国際会議の場合に、研究者からよくある質問は次の3つです。
 「会議の前か後で、招聘する研究者が滞在を3日間ほど延ばせるかな?」
 「開催会場は東京で、招聘する研究者が京都に行けるかな?」
 「招聘研究者が、家族同行したいんだけど、その手配は?」

いつでもどこで問題視されるのは、科研費の支払い根拠となる旅費の証憑(エビデンス)=「航空券の半券」(搭乗券の手元の残り)提出。しかし、無理になって来ました。

この数年で、搭乗券は「E-ticket控」に変わっており、利用者の手元に残ら無い。さらに、国内線はおサイフケータイ全盛となり、国際線もiPhoneでチェックインOK
しかも、科研費の業務を移管された日本学術振興会(JSPS)だって、今や「半券」提出なんて求めてない!?

この提出根拠は、50数年前の文部省の告示「科学研究費補助金取扱規程」の細則。これが、いまも国立大学法人の旅費規程において代を継いで延々と生き続けている。
昭和40年(文部省告示 第110号)ごろは、日本人研究者の海外出張どころか、外国人研究者の海外招へいなんて、無かった。
あれから46年、海外招へいは当然の時代ですが、旅費の証憑の提出根拠は不変です。
ほとんどの大学やでは、所属機関の「旅費基準」が優先されるため、先祖伝来の会計ルールのままです、これが。
独法のほとんどは不要にいたってます。

そこで、豊富な経験と賢い知恵で運用することを、経験豊富で有能な秘書さんから教わりました。

●会議開催の前後に、数日間だけ滞在延長したい、
旅費基準は「前日着/翌日発」で、具体的には次のとおり。
 ・往路便が「開催前日に、開催会場の最寄りの空港に到着する」こと。
 ・帰路便が「開催翌日に、開催会場の最寄りの空港を出発する」こと。
この解釈だけが問題になるのです。

開催1日間の会議で、延々10数時間かけて成
田到着、日本滞在2泊3日間で、また延々10数時間かけて空の旅。
体力的にキツいし、旅費のムダですよね。
航空会社のタイムテーブルの都合で「前日着/翌日発」ができない場合のみ「1泊を公費負担できる」って当然ですね。

さて、次のケースです。
 ・開催5日前までに、成田国際空港に到着したい。
 ・開催会場は、東京大学本郷キャンパス。
・筑波大学にて研究交流したり、東京で留学中の家族と面会したい。
これ、会計課によると「どうしても前泊したいなら、往路の片道運賃は自分持ちで、帰路の半額だけ公費払いに……」。
これを解決する対応は、提出する旅費申請書の記載の仕方だけです。
 ・「旅費や日当を支給しない」。
 ・「プログラム委員会」「編集委員会」を、会議開催前に開催する。
 ・「研究交流会議」を、会議主催者の勤務する大学や独法にて、会議開催前に開催する。

開催前の旅費(宿泊費、日当)を支給しない「私費滞在なら承認しましょう」と少し柔軟な会計担当者もいます。
また「会議開催に必要不可欠な方の滞在なら承認しましょう」と事情通のような会計担当者もいます。
まあ、3日間ぐらいならOKされています。
ただし、他の研究機関が「会議開催前の旅費(宿泊費、日当)支給するなら、往路の片道運賃も負担すべき……」なんて固い会計課もいますが。

もちろん、会議開催後の滞在延長も同じケースですね。

●開催会場と違う都市に別な用事で行きたい
さて、次のケースは、応用編です。
 ・開催前に、成田国際空港に到着します。
 ・開催会場は、東京大学本郷キャンパス。
 ・会議終了後、京都大学を訪問し、関西空港から帰国したい。
これも、会計課はダメ出しで「どうしても関西に行きたいなら、帰国の片道運賃は自分持ちで、往路分の半額だけ公費払いに……」。

これは会計課のルール勘違い(証憑が問題)なので「手を替え品を替えて」にて、粘り強く説得しましょう。
 説得1: 東京〜京都〜関西空港の旅費は本人持ちで、本学は旅費や日当を支給しない。
 説得2: 関西空港から成田経由で帰国しますが、運賃は同じです。
 説得3: 関西空港から直接帰国でも、成田空港から直接帰国でも運賃は同じです。

説得1は、前項と同じ事由です。
説得2と3は、旅行会社から「参考見積書」を提出すれば可能性が高まります。
なお、説得3は、航空会社の運賃規則では「オープンジョー」(2等辺三角形の底辺なし)と呼ばれており、どちらも同額です。

●招へい者に家族が同行する場合の支払いは
これは会計課に届ける必要のない事項です。

最初に、招聘者(同行者も含む)の希望する招聘スケジュールを決定します。
次に、航空会社のコンピュータに同じ予約記録として入力します。
あとは、旅行会社から招聘者のクレジットカードをお伺いし、同行者(家族)の航空運賃をお支払い戴くだけ。
ホテル宿泊も同じ要領で、シングル室料を同行家族の分としてお支払い戴くだけですね。
研究者にも秘書にも、そして会計課にも対応できない旅行業者だけのテクニカル対応でした。

ここまでお読み戴いてお気づきでしょうが、有能な秘書さんと経験豊富な旅行会社が担当すればカンタンに対応できることでしたね。
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by  瀧田龍彦。on 2011年6月2日(木)配信。

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